遺言書作成等のご相談
■なぜ遺言書が必要か

近年相続争いが急速に増加してます。司法統計による遺産分割調停・審判件数
は2018年に1万8千件近くで1985年に比べると約3倍の増加とのことです。
この根本的背景は戦後の家督相続制度の崩壊によるものですが、長く続いて
いる不況も追い打ちをかけているものと思います。
こうした相続争いは遺言書を作成しておけばかなりのものが防げるはずです。
遺言書がないと相続人全員で遺産分割協議を開かなくてはなりませんが、
必ずしもスムーズに成立するとは限りません。不成立の場合は家庭裁判所の
調停・審判にゆだねることになりますが、決着がつかず10年以上ももめる
ケースもあります。
そうした泥沼の争いを避けるためにも是非元気なうちに遺言書の作成を
お勧めします。
遺言に関する誤解
遺言についてのご相談を受けていますと多くの誤解がありますので、主な誤解
についてお答えさせていただきます。
■「私どもは資産が少ないから相続でもめようがなく遺言など必要ない」
平成29年度司法統計によると、遺産分割事件は1,000万円以下が32%、
1,000万円〜5,000万円 が43%と遺産総額5,000万円以下が75%を
占めております。
資産家は信託銀行や顧問弁護士等を使ってあらかじめ対処しているケースが
多く、 むしろ資産が 少な いほどもめるとも言えます。
■「私はまだ元気だから当分遺言など考えなくていいよ」
この方は遺言と遺書を混同しています。遺書は死ぬ間際に自分の思いをした
ためる文書や手紙で法的拘束力はありません。
遺言は自分の死後の財産配分等を明記したもので、法的拘束力があります。
「作成者 は正常な判断能力を持っていなくては遺言の効力がありません」
ので、元気なうちにこそ遺言書を作成 すべきです。
■「私どもは子供もなく家内と2人きりだから遺言書など作成する必要はない」
とんでもない。こういったご夫婦こそ最も遺言書作成をお勧めしたいのです。
仮にご主人の両親は他界していてまた子供もなく、ご主人の兄弟(姉妹)が
いる 場合は、法定相続人は奥様とその兄弟(または甥・姪)になります。
遺言書がないと相続人全員が出席して遺産分割協議を開区必要があります。
ただ日頃付き合いが 無いのに、奥様が急遽兄弟達と一堂に集まって
「相続財産の 配分に関する協議」を開いてスムーズに決着すると思いますか?
もめてまとまらず裁判にまで進むケースも数多くあります。
■「私と連れ合いは籍は入ってないが長年一緒に暮らしていて、兄弟・親戚も
認めているから今さら遺言など無用だよ」
戸籍が入っていないと法的に配偶者と認められず法定相続人にはなれません。
こういう場合にこそ遺言書できちっと相続財産の分与(遺贈と言います)を
明記しておくべきです。
■ご相談の進め方

[初回面談]
初回の面談ではお客様の状況を把握することと、ご希望をうかがうことを重点
にします。
① 次のような点を伺います。
・相続人の確認とその財産を誰に相続させたいかの情報。
・財産配分についての特別な思いや家族にお伝えしたい気持ちがあるかどうか
の確認。
・相続税がかかりそうか、また相続税の資金対策を取っているかどうかの確認。
・相続発生時後の不動産や銀行預金の名義書き換え、財産管理の委任契約、
任意後見契約等の対策を取られるかどうかの確認。
② 自筆証書遺言と公正証書遺言の説明
自筆証書遺言:
自分1人でも比較的簡単に作成でき費用もあまりかかりません。相続関係が配偶者と
子供1人というようにシンプルな場合は自筆証書遺言書で十分かもしれません。
ただし、本人が直筆で書く、正確な日付を入れる、本人が署名と捺印をすると
いう原則に従わなければなりません。
万が一相続人の間で遺言書の有効性が争われた場合は、立証は難しいという
弱点があります。また相続発生時には家庭裁判所での開封と検認が必要なこと
には注意しんなければなりません。
公正証書遺言:
遺言書作成は公証役場で行い、必要な書類の準備とかの手間がかかります。
また公証役場での手数料や専門家に頼む場合はそれらの費用もかかります。
ただし公的な書類なので有効・無効の争いの余地は自筆証書遺言に比べて
小さくなり、さらに相続後に検認の手続きが必要ないので安心できるという
メリットがあります。
自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット、デメリットをご説明して、お客様と
話し合いながらどちらがふさわしいかを判断できるようにいたします。
私どもが遺言書作成の実行をお手伝いすることをご希望される方は、実行支援
プランで遺言書作成の手続きに取り掛かります。
実行支援の段階では、遺言書の正確性・確実性を万全のものにするために、
お客様のニーズにふさわしい税理士、司法書士、行政書士等の専門職と一緒に
対応いたします。
これらの専門職は私が長年信頼している方で、報酬もリーズナブルです。
[遺言書作成の実行支援]
ここでは公正証書遺言を作成する場合をご説明します。

公正証書遺言書作成の流れ!
STEP1 事前の打ち合わせ
・相続についてのご希望を再確認する。
・戸籍謄本や住民登録等のご用意いただく書類について説明する。
・必要なメンバーを選定する。
証人2人は必ず必要です。
通常の遺言書作成では行政書士と連携して対応しますが、
相続税対策が必要な時は税理士、相続後に不動産の登記変更
や銀行預金の名義変更が必要な時は司法書士をご紹介いたします。

STEP2 財産調査と配分の仕方
・ご本人と協力し財産目録を作成する。
・財産の配分の仕方について正確な情報を得る。

STEP3 遺言書の原案の作成と公証人との事前打ち合わせ
・私どもで公正証書遺言書の原案を作成する。
・公証役場に赴き、公証人と事前打ち合わせを行って必要なら
文面を修正してもらいます。

STEP4 遺言書の原案の内容確認
・公正証書遺言書の原案をご本人に見ていただき、必要な個所を修正させて
いただきます。
・ご本人と公証役場へ出かける日程の調整をする。

STEP5 公正証書遺言書の完成
・指定された日に私どもはご本人、証人2人と公証役場に出向く。
・公証人が作成した公正証書遺言書を本人に確認していただきます。
・本人と証人2人が署名・捺印して、最後に公証人が署名・捺印して
完成となります。
・本人には正本と謄本が渡されます。